8月1日(木) くもり時々晴れ 35℃ PM15:15〜
幼い男の子と一緒にメロンとカボチャを探す。私の子どもでもなければ、知り合いの子どもでもない。たまたま母親と一緒に遊びに来ていた幼子である。
男の子は手にしているオモチャの赤い「消防車」が自慢のようで、私のピアス猫探しを手伝うより、「消防車」を自慢したいようだった。
男の子が「ニャーニャー」と言ってあっちを指さす。しかしそこに「あった」のは「砂場に犬猫を入れないでください」と犬猫の絵を描いた看板だった。男の子が笑う、母親も笑う、私も笑った。
幼子のお母さんは外国風の民族衣装を着ているが日本語をぺらぺら喋る。男の子はほとんど「外国語」を口にする。お母さんに話を聞くと、「家庭ではお父さんの国の言葉パキスタン語を喋り、お友達とは日本語で話す」と言う。男の子にとって私は「お父さんの部類の人」に見えたのかもしれない。
書き忘れたが、メロンを一度だけトイレ近くで見つけてくれたのは、その男の子だった。
8月3日(日) くもり時々晴れ 34℃ PM17:35〜
水場付近で寝転がっていたカボチャが近づいてきた。今日は妙に馴れ馴れしい。たぶん腹が減っているのだろう。エサを置くとボリボリ喰う。その噛みちぎる音がガリガリする。男っぽい喰い方で格好いい。
メロンも現れた。相変わらずお姫様風の食べ方をする。
そして、ついにと言うか、やっとと言うか、メロンとカボチャの母親がのそっと現れた。体の大きさは子ども二人とさほど変わらない。オッパイが大きくなっいるだけだ。
しかしカボチャのようにエサに飛びついたりはしない。子ども二人が食べている姿を後ろで黙って見ているだけだ。エサを目の前に置いても無視する。するとそれをカボチャが横取りする。母親は遠慮しているのだろうか。或いは母と子の絆はそうしたことに現れるのだろうか。
ピアスファミリーのじゃれ合う写真を撮りたかった。しかしそれは見られなかった。もうそうした年頃ではないのだろう。
三匹とも今日は私の前から去ろうとしない。たぶん小さな気まぐれだろう。私はそれほど猫に好かれるような人でないことはよく分かっている。
8月6日(火) 快晴 36℃ PM15:20〜
カボチャとメロンが一緒にいた。しかしエサに小躍りして近寄ってきたのはカボチャだけ。
猫の小躍りを見たことはあるだろうか…。うまく説明できないが、全体として確かに躍るのだ。
カボチャに与えたエサとは別にメロンの分をメロンの前に置いた。しかしそれもカボチャが全部食べてしまった。
カボチャがエサの全てを食べ終えると、やおらメロンがエサのあった場所にやって来ると、欠片のひとつだけを口にした。
カボチャとメロンは今、向かい合って座る。そしメロンがカボチャの顔をなめる。これでは兄妹より恋人同志に見える。
8月10日(土) 快晴 35℃ PM12:10〜
メロンとカボチャは近頃一緒にいることが多い。いや私が気づかなかっただけで、元々兄妹なので母親共々一緒にいるのだろう。
これも近頃だが、メロンよりカボチャの方が早く現れるようになった。
今日はメロンもエサを目一杯食べた。
カボチャはエサで腹がふくらむと木陰に入り込み、ぐてっと横になる。
メロンは頭上でうるさく鳴くセミの居場所を探そうと目を凝らす。
そして気づくと、メロンは木を支えている木枠の上に飛び乗り、今にも目的物に飛びかかろうとしている。
ここでもオンナの時代である。
8月11日(月) くもり 31℃ PM16:00〜
すぐさまメロンがやって来た。カボチャより先に来たのは久しぶりだろう。めずらしくメロンはエサをボリボリ食う。カボチャはいつまでたっても現れない。
砂場で女の子二人が遊んでいる。メロンとカボチャのことは知っていた。ピアス猫であることは知らない。二人はお母さん猫のことも知っていた。一人の女の子が云う。「少し怖い感じのする猫」と。こう思われている猫はあまり人に好かれない。しかし強く生き抜いていくだろう。
メロンとカボチャはヒョウタンからコマなのだろうか。女の子二人もヒョウタンからコマであってほしい。いやいや大した意味はありません。
8月14日 快晴 35℃ PM15:45〜
メロンとカボチャは並んでエサを食べる。二匹にはほぼ同量のエサを与えたのだが、いつもお姫様対応のメロンがめずらしくガツガツ喰った。
メロンは食事を終えると木陰に入った。この子はいつもそうする。
カボチャは「もうちょっと欲しいなぁ」とそこいらをうろつく。これもいつもの態度だ。
メロンもカボチャも尻尾が長い。
8月18日(日) くもり時々雨 PM13:50〜
近づく台風の影響が出ている。時たま強い雨が降る。
メロン・カボチャを呼ぶと、カボチャが走ってやって来た。急いでエサを出す。雨がワーワーと強くなる。そうした中でもカボチャはエサから離れない。よほどお腹がすいているのだろう。メロンは現れない。お母さんかも姿を見せない。
猫も雨が嫌いだと聞くが、そうした中で濡れることなど眼中にないほどがつがつエサを食べるのは生きることへの執念だろう。
いつもよりエサを多めに置いて帰ることにする。
明日が台風の本番だ。
8月24日(土)、25日(日)の両日、この公園で盆踊りが行われる。ピアス猫ファミリーにとっては楽しい日となるのだろうか。
8月21日(水) 晴れ 30℃ PM14:35〜
メロンとカボチャが仲良く一緒に現れた。
二匹が現れたその場所には牛乳パックに入った水が置いてある。水の嫌いな猫も飲み水は欲しい。
メロンとカボチャにはいつも別々にエサを置く。そうしないと片方が遠慮してしまう。それはだいたいメロンだ。お嬢様のメロンだから仕方がない。
今日はカボチャがエサを残した。メロンはいつまでも食べ続ける。
園内の真ん中に今週土・日に行われる盆踊り用やぐらが組まれていた。
8月22日(木) 晴れ 30℃ PM15:05〜
カボチャだけがすぐやって来た。
びっくりしたのだが、エサを食べながら一度、クゥーと鳴いた(なった)ことである。
人があまりに腹を減らすと、腹の虫が鳴くのと同じだったのだろうか。
園内には例の高校生愛欲カップルが私服で来ている。本当にこの公園が気に入っているようだ。
そしてもう一組団体がいる。よくわからないが、どこかのかわいこちゃんが関係者に囲まれて写真を撮られている。カボチャやメロンにはいい迷惑だろう。
盆踊りも明後日に迫った。
8月23日(金) 晴れ 26℃ PM17:50〜
午後6時より盆踊りが始まる。今日明日と続く。スタート時間までもう少しあるので、園内は閑散としている。数人のお父さんお母さんと子どもたちがいるだけ。
ピアス猫ファミリーにとっても…。
8月26日(月) 晴れ 30℃ PM15:05〜
最初にカボチャがやって来た。メロンも遅れてやって来る。
袋からエサを取り出すのに手間取っていると、カボチャがググーと唸った。
小さな女の子を遊ばせる母子がいる。メロンとカボチャがエサを食べ始めると「ゴハン、ゴハン」と喜ぶ。
その母子にメロンとカボチャのことを教えようかと思ったが、すぐに帰ってしまった。
メロンとカボチャは無表情で食べ続ける。
今日はメロンの食べっぷりが良い。日時によって二匹の食欲には変化がある。
二匹の頭上でツクツクボウシが大鳴きするが、食欲も注意力も全く衰えない。
二匹はエサを平らげ、「もっとくれよ」とこっちを伺う。
8月28日(水) 晴れ 32℃ PM15:30〜
呼びもしないのにメロンとカボチャはすぐ現れた。全ては私の責任だが、完全に「なつかれて」しまった。しかしそれはあくまでも「エサ」あってのことだが…。
ガールフレンドもいない、白髪も多いこんなおっさんを待っていてくれる「仲間」がいるなんで、やはりこの時代は何処かがおかしい。
公園生活猫なのに、カボチャは私が体を触っても、それほど嫌がらなくなってしまった。やっぱり全ての責任は私にある。この先、どうすればいいのだろうか…。
全てのエサを平らげたカボチャとメロンは、こっちを見つめる。もう帰るしかない。
二匹は食後の一服か、己の体をなめ回している。
8月31日(土) 快晴 34℃ PM14:50〜
今日も姉弟仲良く現れた。
ピアスをした猫日記を始めて一ヶ月半が過ぎた。
エサのおかげでメロンやカボチャと仲良くなれた。いや、仲良くなり過ぎてしまった。この先、どう付き合っていけばいいのか、仕事以上にに悩み続けている。
二匹は一心不乱に食べ続ける。
母猫は相変わらず現れない。もう赤ちゃん猫を産んだのだろうか。もしかして…そうした予感がなくもない。
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